上皮細胞接着分子(epithelial cell adhesion molecule, EpCAM)は、細胞膜に発現する糖タンパク質であり、様々ながん細胞で高発現が認められる。 EpCAMは細胞接着、増殖、生存、幹細胞性、腫瘍形成に関与することが報告されており、がんの診断と治療の有望な標的であると考えられている。本研究では、細胞基盤免疫選択法(Cell-Based Immunization and Screening method, CBIS法)を使用して、抗EpCAMモノクローナル抗体(mAb)の樹立を試みた。樹立された抗EpCAM mAbの1つであるrecEpMab-37(マウスIgG1, kappa)は、EpCAM発現CHO-K1細胞(CHO/EpCAM)や大腸がん細胞株(Caco-2)と反応が認められた一方、EpCAMノックアウトCaco-2細胞とは反応が認められなかった。またrecEpMab-37のCHO/EpCAM、及びCaco-2細胞への解離定数(KD)は、それぞれ2.0×10-8M、及び3.2×10-8Mであった。次に欠失変異体を用いたrecEpMab-37認識部位解析により、EpCAMの144〜164アミノ酸がrecEpMab-37の主要な認識部位であることが明らかになった。さらにrecEpMab-37は、ウエスタンブロット法、及び免疫組織化学によりEpCAMを検出可能であった。以上のようにCBIS法によって樹立されたrecEpMab-37は、EpCAMを特異的に認識し、様々な実験手法でEpCAMを検出できることが明らかになった。