アミド型局所麻酔薬メピバカインは、同じアミド型のリドカインに比べその局所麻酔薬効果持続時間が長く、血管収縮作用があるとされている。しかし、末梢における血管収縮作用に関与するα受容体等への作用機序は不明な点が多く、詳細な検討が行われていないままである。
 刈毛したHartly系雄性モルモット(体重300-350g)の背部に、 0.25%メピバカインに様々なα受容体等のリガンドを添付し、0.1mずつランダムかつ盲目的に皮内注射する。できた膨疹の周囲をマーキングし、膨疹外に正常の皮膚収縮反応があることを確認した後に、5分ごとに3〜5秒間隔で6回の皮膚刺激を与える。刺激に対して反応しなかった数を測定し、時間及び合計したものを、麻酔効果を示すスコア(局麻スコアとする)として比較検討した (モルモット丘疹法)。
 メピバカインは濃度依存性にその麻酔持続時間を延長し、局麻スコアを増加した。そのため0.25%メピバカインを使用し、0.25%リドカイン、0.25%キシロカインと比較した。その結果0.25%メピバカインはリドカインよりその麻酔持続時間が長く、キシロカインより短かった。
 0.25%メピバカインに、以下の薬物、1μM ヨヒンビン、1μM プラゾシン、25μM JP1302、10μM BRL44408、1μM SR49059(選択的V1A受容体遮断薬 V:vasopressin)をそれぞれ混合後、その効果を検討した。その結果、10μM BRL44408以外の薬物がメピバカインの麻酔持続時間を短縮した。
以上の結果より、メピバカインの末梢における血管収縮作用は、少なくとも、α2C受容体及びV1A受容体を介していることが示唆された。