PDGFRαは間質細胞のマーカーであり、PDGFRα+細胞は組織の線維化や脂肪細胞の起源になるだけでなく、組織の維持に必要な細胞であることが分かっている。近年の研究により、PDGFRα+細胞は、各起源臓器に特異的な性質を持つことが明らかになっている。大腸筋層のPDGFRα+細胞は平滑筋やカハール介在細胞と電気的合胞体を形成することが知られているが、小腸のPDGFRα+細胞の機能はよく分かっていない。今回、大腸と小腸のPDGFRα+細胞を比較したところ、細胞形態やPDGFRαの発現強度が異なることが分かった。また、遺伝子発現面でも大腸のPDGFRα+細胞ではコラーゲン関連遺伝子の発現が多いのに対し、小腸のPDGFRα+細胞ではKcn遺伝子などのチャネル/トランスポーター遺伝子の発現が多いことがわかった。これらの結果から、大腸と小腸のPDGFRα+細胞は形態的にも機能的にも異なる可能性が示唆される。