【目的】歯周病は歯周病原因菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患であり、予防の重要性が示唆されている。口腔内に存在する病原性細菌の増殖抑制が歯周病予防に重要であり、有効な機能性食品の開発研究が進んでいる。テアフラビンは紅茶などに含まれる抗酸化性のポリフェノールであり、in vitroの研究結果では歯周病原因菌の増殖を抑制する効果が報告されている。本研究の目的は、テアフラビンのヒト口腔内における歯周病原因菌に対する効果を検討することである (UMIN000020049)。
【方法】本試験は静岡県立大学および柳澤デンタルクリニックの倫理委員会の承認を得て実施した。試験のデザインはランダム化、二重盲検、介入試験である。歯周病をもたない健常者を対象とし、書面による同意を取得した。テアフラビンまたはプラセボを、朝と就寝前の1日2回6週間摂取した (16 mg/day)。摂取前、3週間後、6週間後の唾液を採取し、細菌DNAを抽出し、リアルタイムPCR法により歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalis、Fusobacterium nucleatum、Prevotella intermediaの細菌量を測定した。
【結果】被験者56名を、ランダムに2群に割り付けた。被験者背景はプラセボ群とテアフラビン摂取群の間で有意な差は認めなかった。テアフラビンを6週間摂取することにより、P. gingi-valis、F. nucleatumの菌数および摂取前と摂取後の変化率に差は認められなかったが、P. interme-diaの変化率はプラセボ群と比較して、テアフラビン摂取群で有意に減少した。また口腔内検査、唾液量、唾液pH測定の結果、テアフラビン摂取による変化はなく、有害事象は認められなかった。
【結論】以上の結果から、テアフラビンは歯周病に関連する口腔内細菌を改善することが示唆された。今後作用メカニズムを明らかにすることで、安全性の確認されたテアフラビンが歯周病予防に貢献できると考える。