心筋や骨格筋が正常に収縮するためには、細胞膜と筋小胞体膜が近接する結合膜構造において、L型カルシウムチャネル(LTCC)とリアノジン受容体が機能的に連関することが必要不可欠である。結合膜構造の維持には、ジャンクトフィリン(JP)が重要な役割を果たすことが知られている。これまでの研究により、骨格筋においてはJP1がLTCCに結合し、その細胞内局在を制御していることを明らかにしている。しかし、心筋のJP2とLTCCの関係には不明な点が多い。
本研究では、JP2のドミナントネガティブ体であるC末端欠失変異体(JP2Δ427)をアデノ随伴ウイルスベクターによってマウス心筋細胞に発現させ、in vivoでの効果を検討した。発現にはトロポニンTプロモータを用いた。ウイルス投与4週間後に免疫染色およびウェスタンブロット法を行ったところ、心筋でのJP2Δ427の強い発現が確認できた。また、同時期に心重量を測定したところ、有意な増加が認められた。一方、肺重量、脈拍、血圧については有意な変化は見られなかった。心エコーでの解析を行ったところ、コントロール群の%FSが43%であったのに対し、JP2Δ427群では31%に低下していた。単離心筋細胞のカルシウムイメージングを行ったところ、電気刺激によって惹起されるカルシウム上昇が、JP2Δ427群では有意に減少していた。また、免疫細胞染色を行った結果、JP2Δ427はT管と比べて表面細胞膜に多く分布していることが明らかになった。また同じ細胞でLTCCについて検討を行ったところ、コントロールと比較して表面細胞膜により多く局在していた。これらの結果から、JP2Δ427の強制発現は、LTCCの細胞内局在を変化させることで、カルシウム代謝や心機能の低下を誘導することが示唆された。