【背景・目的】ICH S7B/E14ガイドラインに関するQ&Aが2020年8月に発表され、包括的in vitro催不整脈アッセイ(CiPA)のためのin silicoモデルが画期的な催不整脈リスク予測法として注目されている。近年、我々は慢性AVBサルモデルを用いた催不整脈リスク評価法(高リスク:≤3×臨床用量でTdP発生;中リスク:>3×臨床用量でTdP発生;低/無リスク:TdP発生なし)を開発し、CiPA in silicoモデルを補完する情報を獲得できることを示してきた。今回、この評価法の有用性をさらに検証するため、CiPA薬物のastemizoleとその他5薬物の催不整脈リスク評価を行った。
【方法】雌雄カニクイザルを全身麻酔し房室ブロックを作成した。7か月以上経過した個体にホルター心電計を装着し、astemizole(1、5、10 mg/kg、各n=6)、haloperidol(1、10、30 mg/kg、各n=5)、amiodarone(30 mg/kg、n=4)、famotidine(10 mg/kg、n=4)、levofloxacin(100 mg/kg、n=4)およびtolterodine(0.2、1、4.5 mg/kg、各n=4)を無麻酔下で経口投与した。薬物投与1時間前から投与後21または24時間までの心電図を測定した。
【結果】Astemizoleは5 mg/kgで6例中3例、10 mg/kgで6例中全例に、一方、haloperidolは10および30 mg/kgで各5例中1例にTdPを誘発した。他の薬物はTdPを誘発しなかった。以上の結果から、催不整脈リスクの大きさは、astemizole・haloperidol(中リスク)>amiodarone・famotidine・levofloxacin・tolterodine(低/無リスク)と分類された。
【結語】慢性AVBサルモデルの結果は、CiPA in silicoモデル(astemizole)および過去の慢性AVB犬モデル(astemizole・haloperidol・amiodarone・famotidine・levofloxacin)での評価と一致した。また、tolterodineは低/無リスクと判定された。慢性AVBサルを用いた催不整脈リスク評価法はヒトのリスク予測手段として有用と考えられた。

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