【目的】ウレミックトキシンの一つであるインドキシル硫酸 (IS) は、生体内で様々な悪影響を及ぼすことが知られている。一方、エンドセリン-1 (ET-1) は、主として血管内皮細胞から産生・遊離する血管収縮ペプチドであり、血管におけるその反応性やシグナル伝達が慢性疾患 (糖尿病、高血圧症等) において変化することが報告されている。こういった背景の中で、ISのET-1誘発収縮反応に対する影響に関してはこれまで全く報告がなかった。そこで、今回我々は、ラット摘出胸部大動脈を用いて、ISのET-1誘発収縮反応への影響について検討した。【方法】Wistarラットより胸部大動脈を摘出し、内皮保持、内皮除去標本を作成した。オルガンバスに懸垂し、ISを60分処置・非処置 (control) 群においてET-1誘発収縮反応を検討した。また、ET 受容体拮抗薬、一酸化窒素合成酵素 (NOS) 阻害薬、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)阻害薬存在下におけるET-1収縮反応、ETB受容体アゴニストによる反応について検討を行った。【結果及び考察】IS (1 mM、60分) を処置することによって、ET-1誘発収縮反応の増大が観察された(vs. 非処置群)。内皮除去あるいはNOS阻害薬により、IS処置群、非処置群いずれもET-1誘発収縮反応が増大した。BQ123 (ETA 受容体拮抗薬) により、IS処置群、非処置群いずれもET-1誘発収縮反応が減弱し、一方、BQ788 (ETB 受容体拮抗薬) 処置により、control群のみET-1収縮の増大が認められた。IS処置群において (vs. control群)、IRL1620 (ETB受容体アゴニスト) 誘発弛緩反応の減弱が認められた。IRL1620による収縮は両群で認められなかったことから、ISで平滑筋におけるETB受容体活性化に伴う収縮を誘発していないことが明らかとなった。ODQ (sGC阻害薬) により、IS処置群、非処置群いずれもET-1誘発収縮反応が増大した。以上のことより、ISは胸部大動脈におけるET-1誘発収縮反応を増大させ、これには、NO/cGMPシグナルの障害が関与する可能性が示唆された。内皮細胞におけるETB活性化に伴うNO産生とそのシグナル以外にもISが影響している可能性も示唆された。

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