がん抑制遺伝子F-box and WD repeat domain-containing 7(FBXW7)は、がん幹細胞マーカーのタンパク質分解を促進することにより、がん幹細胞能を低下させる。我々は最近、いくつかのがん細胞の三次元(3D)スフェロイド形成により、FBXW7転写が抑制されることを明らかにした。本研究では、ヒト前立腺がんLNCaP細胞の3次元スフェロイドモデルにおいて、Ca2+活性化K+チャネルKCa1.1阻害により、Akt-Nrf2シグナル伝達経路を介してFBXW7転写が活性化されることを見出した。また、KCa1.1阻害によるFBXW7転写の活性化は、C/EBPδ(CEBPD)の阻害、およびmiR223 mimicの移入により低下した。以上の結果により、LNCaPスフェロイドモデルにおいて、KCa1.1阻害によるFBXW7転写の活性化は、Akt-Nrf2-CEBPD-miR223系を介して制御されている可能性が示唆された。さらに、KCa1.1阻害によるFBXW7活性化は、1)KCa1.1活性の増大と2)がん幹細胞マーカーc-Mycのタンパク質発現低下を惹起した。したがって、KCa1.1阻害によるFBXW7の転写活性化は、KCa1.1陽性発現がん細胞におけるがん幹細胞への転換抑制に少なくとも一部関与する可能性が示唆された。