がん治療において免疫チェックポイント阻害薬は革新的な治療となったが、免疫関連有害事象の炎症性関節炎や関節リウマチ(RA)患者の関節炎増悪によるQOL低下が課題である。抗PD-1抗体がPD-1/PD-L1シグナル阻害によるT細胞の活性化を誘導するに対し、抗PD-L1抗体はさらにPD-L1への結合による細胞内シグナル伝達が報告されている。しかし関節炎病態に関与する滑膜線維芽細胞に着目した抗PD-L1抗体の関節炎への作用は報告がない。そこで本研究ではSKGマウスに抗PD-L1抗体を投与することで炎症性関節炎モデルを作成し、その表現型を解析した。Mannanで関節炎を誘導したSKGマウスに抗PD-L1抗体250 µgを週3回投与すると、対照群と比較し関節炎スコアの増悪を認めた。一方で抗PD-L1抗体投与を週1回に減量すると、関節炎スコアの増悪を認めずにvon frey testによる疼痛閾値の低下を認めた。in vitro系でRA滑膜線維芽細胞(RA-FLS)におけるPD-L1発現を検討すると、PD-L1発現はmRNA・タンパクレベルで共にTNFα刺激により上昇した。さらに2例のRA患者由来のRA-FLSを抗PD-L1抗体で処理しbulkRNA-seqで発現変動遺伝子を検討すると、CXCL8/IL-8およびFGF9の発現上昇を認めた。BALB/cマウスの足背へのrmFGF9皮下注射はvon frey testによる疼痛閾値の低下を認めた。以上より、抗PD-L1抗体は、滑膜線維芽細胞の発現するPD-L1に結合し、CXCL8/IL-8産生促進による関節炎増悪およびFGF9産生促進による関節炎疼痛の増悪を誘導する可能性が示唆された。