【目的】インターロイキン-19(IL-19)はIL-10ファミリーに分類されるサイトカインであり、主としてマクロファージから産生され各種炎症性病態において抗炎症作用を示す。これまでに、肺炎など肺疾患におけるIL-19の役割は明らかにされてこなかったことから、肺疾患におけるIL-19の役割を解明することとした。本研究では急性肺障害におけるIL-19の役割を解明する目的で、IL-19遺伝子欠損マウス(IL-19KO)を用いて塩酸誘発肺障害における肺病態を解析した。
【方法】雄性C57BL/6(8-10週齢)の野生型マウス(WT)およびIL-19KOを用いて、露出させた気管内に塩酸(0.1M)を2 µL/g投与した。塩酸投与から4時間後に肺を採材した。HE染色を用いて組織学的評価を実施し、定量リアルタイムPCRにより各因子のmRNA発現量を測定した。好中球浸潤およびアポトーシスの検出には免疫組織染色および免疫蛍光染色を各々用いて評価した。
【結果】塩酸投与に伴い、肺胞壁の肥厚ならびに肺胞面積の減少を伴う肺障害が見られた。IL-19KOではWTよりも有意に肺胞面積の減少がみられたことから肺障害は悪化することが明らかとなった。また、IL-19KOではWTよりも有意に肺水腫の悪化および出血の増悪もみられた。MPO陽性割合により好中球浸潤を評価したところ、IL-19KOではWTよりも有意にMPO陽性面積の割合が増加した。定量リアルタイムPCRにより関連する因子のmRNA量を定量したところ、IL-19KOではWTよりも有意に好中球遊走因子であるCXCL1およびIL-6が増加していた。一方、マクロファージのマーカーであるF4/80 mRNA発現量はWTとIL-19KOの間で有意な変化は認められなかった。続いて、肺障害により細胞死が起っているかどうか、さらには、アポトーシスが検出されるかどうかを、カスパーゼ3抗体を用いて評価した。WTではカスパーゼ3抗体陽性細胞はほとんど検出されなかったのに対して、IL-19KOではカスパーゼ3抗体陽性細胞が認められ。
【考察】以上の結果より、IL-19KOでは塩酸誘発肺障害による肺障害が増悪することが明らかとなった。また、この増悪には好中球浸潤が主として関わることから、IL-19は好中球が介在する急性炎症に関与する可能性が示唆された。