【目的】希少糖とは自然界に微量しか存在しない単糖とその誘導体である。糖質の中には、グルコース、マンニトール、ソルビトールなど生体内で浸透圧活性を有するものがあることが知られているが、希少糖については不明である。本研究では、希少糖アリトールの浸透圧活性をin vitroおよびin vivoで検討した。
【方法】培養ヒト肝細胞癌細胞(HepG2)において、浸透圧ストレス応答因子である浸透圧感受性エンハンサー結合蛋白質(TonEBP)の浸透圧特異的活性を、ルシフェラーゼによるレポーターシステムで測定した。また、9-11週齢の雄性Sprague-Dawleyラットに対して5%(274 mM)及び20%(1096 mM)アリトール溶液の静脈内投与を、6週齢の雄性C57BL6Jマウスに対して7日間3%アリトール溶液の飲水投与を行い、尿量・尿濃縮能、体内電解質・水分バランスなどを評価した。
【結果】HepG2細胞において、100 mMアリトールは同濃度のグルコースやマンニトールに比して、浸透圧応答依存性TonEBPルシフェラーゼ活性を有意に増強した。麻酔下ラットに対してアリトールを静脈内投与すると、尿量の増加、尿浸透圧の低下が生じ、浸透圧利尿の特徴が認められた。一方、マウスにアリトールを継続的に飲水投与すると軟便を認め、代償的に尿量は減少傾向を示し、結果的に、全身の水分、ナトリウム、カリウム含量には影響を与えなかった。
【考察】以上の結果より、アリトールは生体内で浸透圧活性を有しており、静脈内投与の場合は浸透圧利尿が、経口投与の場合は腸からの水排泄増加が誘導されることが示唆され、体液過剰や便秘などに有効である可能性が考えられた。