脳の血管は血液脳関門(BBB)とよばれるバリア機能を有しており、末梢血液と脳組織液の物質交換を制限することで、中枢神経系特有の薬物動態と恒常性を維持している。BBBは、脳毛細血管を構成する血管内皮細胞のTight Junction(TJ)蛋白質による密着結合と、トランスポーターによる配向性、さらに血管周囲を取り囲むペリサイトや脳側細胞により制御された、Neurovascular Unitとよばれる複合的な組織である。近年、脳血管に近接しているアストロサイトやミクログリアなどのグリア細胞がBBB機能を制御していることが報告されている。しかしながらこれらのグリア細胞とBBB形成・成熟との関連は未だ不明である。本研究では、P1~P30のラット大脳皮質毛細血管のBBB発達過程に注目し、脳血管のBBB形成と、アストロサイト、ミクログリアの局在を解剖学的に解析した。まず、成熟したBBBを通過しないエバンスブルーと組織固定型ビオチンを用いて、BBB形成時期を調べた。 脳実質へのエバンスブルーおよび組織固定型ビオチンの漏出の程度は、P4まで高く、徐々に低下し、P15で最低値となりP30まで変化しなかった。 次に、生後ラットの大脳皮質毛細血管とグリア細胞の免疫染色データをIMARIS 3D解析し、BBBの形成過程におけるアストロサイトとミクログリアの血管被覆率を検討した。 その結果、アストロサイト終足は毛細血管と直接接触しており、その被覆率は出生後に急速に増加し、P15でプラトーに達し、P30まで変化しなかった。さらに、ミクログリアも毛細血管と直接接触しており、その被覆率は生後増加し、 P15で 最も高くなり、P30で安定化することが明らかになった。本研究は、傍細胞輸送とグリア細胞の接触変化の観点より、BBB形成期間がP4~P15であることを明らかにした。同時に、BBB形成過程において、ミクログリアが構造的、機能的に重要な役割を果たしている可能性を示した。